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吹き出しパパ活女性につけこむ犯罪 「被害者200人超」の卑劣手口

「パパ活」とは、経済的に余裕のある男性(多くは中年男性)とデートのような真似をすることで、女性が金銭援助を受けることを指す。

2010年代後半に広まり、ある調査では若い女性の10人に1人が経験者だという結果もある。
女性が男性に提供する内容は、レストランでの食事や買い物など、相手に踏み込まない当たり障りのないものというのが一般的だったが、最近は、その先を求める男性と応じる女性が出現している。
多くのパパ活希望女性の願いは、今より少しの金銭的余裕がほしいというものだ。その思いにつけ込んだ末に起きた事件について、ライターの森鷹久氏がレポートする。


公に表示するには差し障りがある部分にモザイク加工などの処理がなされていない「違法コンテンツ」といえば、昔からつい最近に至るまで、反社会勢力グループの手によって作られ、流通されるものであった。筆者はこれまで、こうした反社会勢力の一部が、ネット上の売買サイトを経由で映像販売するようになった経緯を取材し、記事にしてきた。
ネット販売が手段を手軽にしたためか、ごく一部に映像製作経験のない素人が一人で製作から販売までを一貫して行なっている例もあり、その事実にも言及した。
そして2月、まさにそんな一人きりで商売してきた素人が実際に逮捕されたのだ。大手紙警視庁担当記者が解説する。

「男は“パパ活”を希望する女性にネット上のマッチングアプリを使って接触し、顔が出ない、風俗のスカウトではないなどと言って女性の警戒心を解き、きわどい撮影への出演を交渉していました。そうして撮影が行われ、販売されていた動画は数百本にのぼり、被害者は200人を超えているとも言われています」(警視庁担当記者)

逮捕された30代の男・Xは、自身と女性の交わりをビデオなどで撮影し、加工しないままの状態でネット上の売買サイトで販売。中には女性の顔が写っているものあった。
聞いていた話と違うと被害を訴える女性らからの通報をもとにした警視庁の捜査で、男の身元が判明したと言う。さらに男は、事前に約束していた女性らへの出演料さえ踏み倒していた可能性がある。
知人女性がXから被害を受けたと言う男性が訴える。

「Xはマッチングアプリを使って“パパ活”女性をターゲットにして犯行に及んでいました。そのほとんどは、一回会って撮影をし、そのままバックレるので、女性の多くはXと連絡が取れなくなっていた。そして騙されたと悟った女性たちの心の傷を癒せないうちに、自身の映像がネット上で、無断で販売されていたんです。数人の被害者は、弁護士や警察に相談していますが、そもそもマッチングアプリも偽名で登録されたもので、どこの誰かが全くわからない。泣き寝入りの状態が続いていました」(前出の男性)

SNS上には「ついにXが逮捕された」との書き込みが相次ぎ、Xが詐欺など他の犯罪に関与していたことを示唆する内容も見受けられる。

「Xは様々な仕事を転々としていましたが、いわゆる映像の仕事をした経験はない“素人”でした。詐欺的に女性を騙し、日本の法律が届きにくい海外のコンテンツ売買サイトを使い、少なくとも数千万円の利益を上げていたようで、ネット上の一部では有名人でした。そして犯行の全ては、ほとんど一人でやっていたと思われます」(前出の男性)

当のXは警察の取り調べに対し「違法かどうか考えたこともない」と開き直りのような供述をしていると言うから、開いた口が塞がらない。被害女性を知る前出の男性が続ける。
「最近“パパ活”などという言葉が流行っているからこそ、そこに目をつけたのでしょう。パパ活を誰かに持ちかけるということは、自身が金に困っている、お金のためなら無理がきくと言っているようなもの。そんな女性の前に現金をチラつかせれば、多少の無理でも通ると思い、犯行を続けていたんだと思います」
未成年ではない男女の合意のもとに行われる「パパ活」ならば、たとえそこに金銭が介在した極めて親密な関係性を含んだとしても、それは犯罪ではない。
違法とされる、誰かが管理して金銭を介在させるのとは違う、あくまで個人と個人による合意の上での取引だからだ。だが、現実には被害者が発生する事件を引き起こしている。
当然、Xが糾弾されるべき犯罪者で、女性たちが被害者であるという事実は動かない。Xは、いわば金銭を求める女性の立場を逆手に取る犯罪を実行したことに変わりなく、その卑劣さは、誰の目からみても明らかだ。

しかしながら“パパ活”で相手を募集するという行為がきっかけとなり、女性たちが被害に遭ったのも事実だ。
マッチングアプリへの登録内容が本物だという保証はないのだから、いくらアプリで何度もやりとりした相手でも、慎重に判断する必要があっただろう。
厳しい言い方かもしれないが、一時の欲望や情念に惑わされた挙句、一生消えない傷を背負ってしまったその代償を、誰も支払ってはくれない。全ては自身に振り返ってくるということを、この件を通じて今一度考えてみるべきだろう。

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